地下都市SF

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20.橋の上

 人工太陽はすっかり赤くなっていて、天井の端っこにいた。もうすぐ日が沈む。  両親は門限にうるさくない方だが、それは事前に帰宅予定時間を伝えていてのこと。ボウリングで盛り上がり、二ゲームで終えるはずが五ゲームもしてしまったので、今は日没前...
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19.残光

 個室のスライド式のドアは全開になっていて、廊下からでも室内が見えるが、ベッドの周囲はカーテンが引かれていた。裾は床に届いていないので、ベッドの脚が見える。人の脚は見えない。見舞い客はなく、看護師の処置中でもないようだ。  入り口で一度声...
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18.毛糸

 寒冷化していても、地上には四季があるそうだ。十一月の下旬ともなると、冬が近付き寒さが増してくるという。地下都市では、年間を通して快適な気温になるように調整されているから、寒くなると言われてもぴんとこない。寒いと感じるのは熱が出たとか、体...
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17.通信士

 あの日、月面都市で暮らす人類は、地球に衝突する小惑星を、塵に覆われて灰色の惑星と変わっていく地球を、ただ見ているしかなかった。  地球に接近する小惑星が発見され、それとの衝突が避けようがないと判明した後、月面都市へ避難しようと人々が殺到...
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16.編み込み

 朝はいつでも忙しい。朝食を作り娘を起こしてご飯を食べさせ、保育園に行く支度をする――のだが、すんなり行かない日の方が多い。娘がご飯を食べてくれなかったり、着替えてくれなかったり、靴を履いてくれなかったり、髪型を気に入ってくれなかったり、...
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