小説 空が晴れである限り 気持ちよく晴れた空の下に、それにふさわしくない音が響いていた。 死の宣告のように重苦しい音。それに比べるとかわいそうなほど小さく、必死な足音。 一人の少女が、岩と泥でできた人型の化け物に追われていた。化け物の大きさは、少女の優に三倍はあ... 2024.06.23 小説短編
300字SS 新しいものは古いものの中に 砂地に大小様々な石が転がっていた。たまに大きなものがあると思うと、それは遙か昔の人工物のなれの果て。周辺を掘れば、更なる人工物が見つかる。大概は瓦礫だが、たまに文字通り掘り出し物もある。 たとえば、蓋を溶接した金属の小箱とか。 ガナと二... 2024.06.02 300字SS小説
300字SS I’m a human being. ヒトは、どこまでをヒトと認めるのか。 肉体の衰えた部位を、機械体に置き換える人々がいる。中には脳以外の部分を、極端な場合は、脳でさえ。 悉く機械に置き換えたヒトは、果たしてアンドロイドとどれほど違うのか。火星にいくつもの都市を建設してい... 2023.05.27 300字SS小説
短編 忘れ得ぬもの、まだ見ぬ世界 その感触を、生涯忘れることはないだろう。けれど――。 「火星行きが目前で、ナーバスになってるだけじゃない?」 少し呆れた顔の同僚達に見送られ、地球行きの船に乗る。きっと仲間の言う通りだ。月生まれなのに、地球の青さに懐かしさを感じるのは、も... 2023.02.12 短編
300字SS 見えざる手 朝日が眩しい海岸を歩いていた時に、出会った。足がなくなった大きなクラゲが打ち上げられていると思ったが、違った。 迷子の宇宙人だった。 故郷へ帰るロケット作りを手伝う羽目になったのだが、色々な研究機関やマスコミ、動画配信者等に追いかけ回さ... 2022.06.05 300字SS小説