和風ファンタジー

小説

あぶくは願う

山が赤く色付く季節で、海は冷たかった。けれど、水の冷たさなど取るに足らない。  豪奢で幾重もある衣は、海に落ちた瞬間から彼女の体にまとわりつき、水を吸ってますます重くなった。陸であっても動きづらい花嫁衣装は、もはや枷でしかない。その上、手足...