300字SS

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ダッシュ・ダッシュ

大きな水音と共に泥が跳ねた。水溜まりがあったらしい。しかし構わず疾走を続けた。 目標との距離は殆ど変わっていない。「無駄だ。追い付けないよ」 前方から声が飛んでくる。 追い付けないのではなく、引き離されていないのだ、と自分に言い聞かせる。よ...
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いま大切なものは

どうしても欲しいのならば、力を示せ。己の力を。 一度始めてしまったら引き返せない。相棒の竜と共に森や砂漠、山岳地帯をひたすら駆け抜け、指定された目的地に到達する。ただそれだけの競走。 優勝者には賞金と、望みを一つ叶えてもらえるという副賞があ...
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新しいものは古いものの中に

砂地に大小様々な石が転がっていた。たまに大きなものがあると思うと、それは遙か昔の人工物のなれの果て。周辺を掘れば、更なる人工物が見つかる。大概は瓦礫だが、たまに文字通り掘り出し物もある。 たとえば、蓋を溶接した金属の小箱とか。 ガナと二人で...
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I’m a human being.

ヒトは、どこまでをヒトと認めるのか。 肉体の衰えた部位を、機械体に置き換える人々がいる。中には脳以外の部分を、極端な場合は、脳でさえ。 悉く機械に置き換えたヒトは、果たしてアンドロイドとどれほど違うのか。火星にいくつもの都市を建設している現...
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帰還

旅する目的は人それぞれ。商売だったり、護衛だったり、逃亡だったり、魔物退治だったり。 単なる雑貨屋の主に旅人たる彼らは、いざという時はよろしく、と雑貨を買うついでに頼んで、行く。 客足が途絶えた昼下がり、店内で小さな足音がした。重く疲れた足...