小説

300字SS

宝島

 人々の望むものがそこにはあるという。どんな宝でも願いでも、欲しいものは必ずある。  数多の人々がそこを目指して旅立ち、誰一人、帰らなかった。  それでも、なんとしても手に入れたいものがあれば、目指してしまうのだ。  うねる波を乗り越え、...
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封印ロンリネス

「ぼくを一人にしないで」  その願い虚しく、十年前、唯一の幼なじみは眠りについた。  小さな宮殿の奥には石造りの寝台と、その向こうに祭壇がある。手前の寝台で横たわる人物はさながら捧げられた生贄だ。  祭壇の中には〈災いの元〉がいるという...
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航海士たち

 陸地は水平線のかなたに消え、船は海流を横切っている真っ最中。空は快晴、なのに気分は最悪だ。 「また船酔い?」  甲板でぐったりしていると、雲はないのに影がさす。呆れ顔に見下ろされていた。 「エク……助けてくれ……」 「そうやってすぐ人に...
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あかときの8分19秒

 昼に白く輝き、夜は月を通して存在を知らしめる、人類最寄りの恒星。  目を細めても眩しすぎるその輝きは、8分19秒前のもの。今見えている太陽は、既に過去なのだ。  見えていても、それだけかの星は遠い。  有志が集まって打ち上げた太陽探査...
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日のあたる場所

 影はいつも傍にあった。壁にもたれた背と、机に叩き付けた拳と、大地を踏む足と……影は必ず私と繋がっていた。  夕暮れのグラウンドでボールが私に向かって飛んできた時、私を守ってくれたのは影だった。階段で足を踏み外した時も、信号のない横断歩道...
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