朝日が眩しい海岸を歩いていた時に、出会った。足がなくなった大きなクラゲが打ち上げられていると思ったが、違った。
迷子の宇宙人だった。
故郷へ帰るロケット作りを手伝う羽目になったのだが、色々な研究機関やマスコミ、動画配信者等に追いかけ回されて、それはもう大変では済まなかったものの、何とかロケットは完成した。
『阿リガ10、サ4七ラ』
宇宙人の見た目は、巨大な水饅頭だ。念力みたいな能力があるので、手足がなくとも簡単に物を掴めるし移動もできる。
私の手を、見えない何かが掴んだ。それと同時に、見えない腕で抱きしめられる。
宇宙人の体は見た目通りにひんやりしていて、腫れぼったくなった目にちょうどよかった。
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※Twitter300字SS参加作品、第87回お題「手」
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