異世界ファンタジー

300字SS

カササギの橋渡し

 見上げると数え切れない無数の星。明るさ様々に夜空を彩り、寄り集まってさながら川のようだ。なんと美しく流れる壮大な川だろう、と溜息がこぼれる。 「明日も晴れそうでございますね、姫様」  侍女の言葉に、露台で空を見上げていた姫は嬉しそうに笑...
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鍵なる娘は森の奥に

 森の奥深くに聳える巨木のうろには、娘が埋まっている。その娘が世界を辛うじて守っているのだ。  世界は緑に覆われていた。一晩目を離せば畑が緑に奪われるほどに。 だから、森のほとりに住む若者は成人の儀礼として、うろに眠る娘の目覚めを促すのだ...
小説

聖女の真実 騎士の約束 後編

「お願い、イグネス。助けて」  彼女は泣いてすがったが、イグネスにはどうすることもできなかった。  この村で生まれた魔術師たちは、幼い頃から自分たちの役割を言い聞かされて育つ。だから、自分にその役割が回ってきたとしても最後には仕方ないと諦...
小説

聖女の真実 騎士の約束 前編

 骨が軋み、皮膚がひきつる。針で刺されるような痛みが全身を苛む。血管が蛇のようにのたうち、その中を嵐のように血が巡る。嵐に耐えきれず、何カ所も内側から破れていた。  飛んできた石の礫が顔に当たった。  嵐は彼の内側だけにあるのではない。周...
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インク職人は忙しい

 インク職人の朝は早く、夜は遅い。  客である魔法使いたちの要求は様々なのだ。朝露を集め、新月の夜に採るべしとされる薬草を探さねばならない。  昼は調合と接客、材料集めも欠かせない。  インク職人は忙しい。  魔法使い達は魔術書に呪符に、...
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