青春

小説

きみの健やかなる未来を願い、描く

定規で引いたようにまっすぐな道にはゴミ一つ落ちていない。ゴミが落ちていても、すぐさま清掃ロボットが現れてゴミを片付け、捨てた人物を特定して当局に通報する。  街路樹の葉っぱすらほとんど落ちていない。きれいに整備された公園には指定された植物だ...
小説

透明な恋のはじめかた 後編

「もう二週間経つのに、全然戻る気配がないね」  帰り道、明が半分諦め、半分苦笑いする声で言った。彼女も帰宅部だった。放課後も教室でだべることの多い大倉と根本を置いて、透は明と一緒に先に帰ることが増えた。 「透明なのにも慣れちゃったな」 「う...
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透明な恋のはじめかた 前編

帰宅部で、委員会の活動も今日はない透(とおる)は、友人たちと帰途に着いた。駅に向かう道には同じ制服を着た生徒たちの姿が目に付く。 「あれ、山崎じゃねえ?」  大倉が数十メートル先を歩いている男子生徒を指さした。山崎は一緒に帰っていたメンツの...
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水切り

短い掛け声と共に腕をほとんど水平に振る。手に握られていた、平たい石が飛び出した。  ほとんど水平に飛んでいく石は、川面にぶつかると弾かれるようにして波紋だけを残し、さらに川面すれすれのところを跳んでいく。少し先で同じように波紋を描き、また跳...