夜間飛行

 地面があっという間に遠ざかる。耳元で風がうなり、前髪が吹き飛ばされそうだ。
「もっとゆっくりの方がいいよ、ニア! 速すぎる!」
 ニアレアの腰にしがみついている黒猫が、悲鳴のような声を上げる。
「無理言わないで、ヘッダ! 初めて飛んだのに、そんな器用なことできないよ!」
 応えるニアレアも大声だ。ただ、ヘッダのような悲鳴ではなくて、むしろこの状況を楽しんでいる節のある声だった。
Continue reading 夜間飛行