現代ファンタジー

300字SS

川の主

夏休みは山奥 に住む祖父母に預けられ、飼い犬を連れてよく川へ散歩に行っていた。 ある時、川の冷たい水を楽しんでいた犬が急に何かを追いかけ始めたので見てみると、一匹の黒い鯉が泳いでいた。頭に白く大きな斑点がある。犬を窘めると、鯉は川の深い方へ...
小説

透明な恋のはじめかた 後編

「もう二週間経つのに、全然戻る気配がないね」  帰り道、明が半分諦め、半分苦笑いする声で言った。彼女も帰宅部だった。放課後も教室でだべることの多い大倉と根本を置いて、透は明と一緒に先に帰ることが増えた。 「透明なのにも慣れちゃったな」 「う...
小説

透明な恋のはじめかた 前編

帰宅部で、委員会の活動も今日はない透(とおる)は、友人たちと帰途に着いた。駅に向かう道には同じ制服を着た生徒たちの姿が目に付く。 「あれ、山崎じゃねえ?」  大倉が数十メートル先を歩いている男子生徒を指さした。山崎は一緒に帰っていたメンツの...