シリアス

小説

アリューセリドの道守/後編

女神の姿をようやく再び見ることはできたが、その時カイの胸をよぎった嫌な予感はこびりついてなかなか消えることはなかった。それを打ち消そうとするように、カイは今まで以上に念入りに神殿や道の掃除をした。そうすれば、もう一度アリューセリドが現れて、...
小説

アリューセリドの道守/前編

さわさわと、風が草原を渡っていく。  夕刻が近づき少し赤くなった陽光に照らされる草原は、黄金色に見えた。  季節は夏から秋へ移ろい、その秋も、もう間もなく終わる。この国の秋は短い。あと何日もすれば、今年最初の雪が空から舞い落ちてくるだろう。...