nagasaka_danpi

掌は塵と消えて

掌は塵と消えて〈3〉

だが、想像した痛みはなく、代わりに奇妙で短い悲鳴が目の前から聞こえた。 恐る恐る目を開けると、瞑る前よりも近いところにムカデの口があった。そしてその中を貫くように、緑色に光る細い柱――いや、刀があった。「おい、大丈夫か?」 顔を上げると、ム...
掌は塵と消えて

掌は塵と消えて〈2〉

今から十五年前。 手柄をたてて褒美をたくさんもらってくるぞ、と意気込んで戦に向かった父親は帰ってこなかった。それから女手一つで子供達を育ていた母親は、ある朝冷たくなっていた。 一弥たち残された子供は、ばらばらに親戚に引き取られた。 他のきょ...
掌は塵と消えて

掌は塵と消えて〈1〉

物の怪は人の体を食らい、心を食らい、魂を食らう。 物の怪は闇に潜み、闇に紛れ、闇から現れる。 人が知らぬ間、気付かぬ間に、物の怪はすぐそばまで忍び寄り、隙あらば人に襲いかかる。 物の怪退治屋となって十年ほど。一弥(いつや)が知る限り、物の怪...
小説

空が晴れである限り

気持ちよく晴れた空の下に、それにふさわしくない音が響いていた。 死の宣告のように重苦しい音。それに比べるとかわいそうなほど小さく、必死な足音。 一人の少女が、岩と泥でできた人型の化け物に追われていた。化け物の大きさは、少女の優に三倍はある。...
300字SS

新しいものは古いものの中に

砂地に大小様々な石が転がっていた。たまに大きなものがあると思うと、それは遙か昔の人工物のなれの果て。周辺を掘れば、更なる人工物が見つかる。大概は瓦礫だが、たまに文字通り掘り出し物もある。 たとえば、蓋を溶接した金属の小箱とか。 ガナと二人で...