ライト

300字SS

ダッシュ・ダッシュ

大きな水音と共に泥が跳ねた。水溜まりがあったらしい。しかし構わず疾走を続けた。 目標との距離は殆ど変わっていない。「無駄だ。追い付けないよ」 前方から声が飛んでくる。 追い付けないのではなく、引き離されていないのだ、と自分に言い聞かせる。よ...
300字SS

いま大切なものは

どうしても欲しいのならば、力を示せ。己の力を。 一度始めてしまったら引き返せない。相棒の竜と共に森や砂漠、山岳地帯をひたすら駆け抜け、指定された目的地に到達する。ただそれだけの競走。 優勝者には賞金と、望みを一つ叶えてもらえるという副賞があ...
短編

灯火の行く末

それは、生きる灯火だった。 ありきたりで片付けられるのは不本意ではあるが、私からすれば、道行く人もありきたりの普通の人生を送っているのだろう。 そんなありきたりな、暗闇を這うような人生を歩んできた私にとって、その人はまさに灯火だった。 力強...
小説

続・ぼくのサンタクロース

その小さな島は、海岸の目と鼻の先にあった。島に渡るには舟を使うか、潮が引いたときにだけ現れる道を通るしかない。ただし、島自体が神域であるため、上陸できるのは許された者だけだ。 ただ、見咎める者のいない夜にこっそりと島に渡り、置きみやげをして...
小説

ぼくのサンタクロース

冬になると雪に閉ざされる北の国々と違い、南方の面影が濃いこの地方では、冬であっても氷が張ることさえ稀だ。吐く息が白くけぶるのは朝も早いうちだけのこと。日が、その姿をすべて現せば、たちまち白い息は光の中に溶かされ見えなくなる。師走となり、風が...