SF

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あかときの8分19秒

昼に白く輝き、夜は月を通して存在を知らしめる、人類最寄りの恒星。 目を細めても眩しすぎるその輝きは、8分19秒前のもの。今見えている太陽は、既に過去なのだ。 見えていても、それだけかの星は遠い。 有志が集まって打ち上げた太陽探査機「あかとき...
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種撒く人

「私の記憶に間違いなければ蒼藤の月一日。晴れ後雷雨。気持ちよく寝ていたら雷に起こされ、雨に見舞われる。昼寝を邪魔され不愉快だが、全身が洗えてすっきりできたので良しとする」 話しかけていた相手である黒く小さな種を、薄緑色の瓶に入れてしっかりと...
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もし目が覚めたら、夢の話をしよう

「私達はもう長くないけど、あなたは違う。あなたは私達では辿り着けない、遠い遠い未来へ行ける。だから、そこで伝えて。あなたを目覚めさせた存在に、私達のことを。この世界で起きたことを。私達が夢見た未来を」 それが、この目で見た最後の光景でした。...
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失われた火/日を求めて

黒くつるりとした水面に小さな波紋が生まれ、その中心から青く淡い光がゆっくりと現れる。光と波紋は見る間に数え切れないほど増え、湖が青く輝く。「綺麗……」「これが〈トゥレアの火〉だよ、ミラウ」 夕方になると餌を求めて飛び立つ小さな竜虫の群。その...
novelber

30.真っ白い

事務所という名の狭い室内にあるのは、二台ずつ向かい合わせに並ぶ事務机と、壁際に寄せられた三人掛けの古ぼけたソファ、その前にあるローテーブル、雑多のものが詰まっている背の高いキャビネットくらいだ。 窓もない部屋で、壁の一面はキャビネット、もう...