ファンタジー

小説

続・ぼくのサンタクロース

その小さな島は、海岸の目と鼻の先にあった。島に渡るには舟を使うか、潮が引いたときにだけ現れる道を通るしかない。ただし、島自体が神域であるため、上陸できるのは許された者だけだ。 ただ、見咎める者のいない夜にこっそりと島に渡り、置きみやげをして...
短編

ぼくのサンタクロース

冬になると雪に閉ざされる北の国々と違い、南方の面影が濃いこの地方では、冬であっても氷が張ることさえ稀だ。吐く息が白くけぶるのは朝も早いうちだけのこと。日が、その姿をすべて現せば、たちまち白い息は光の中に溶かされ見えなくなる。師走となり、風が...
300字SS

見えざる手

朝日が眩しい海岸を歩いていた時に、出会った。足がなくなった大きなクラゲが打ち上げられていると思ったが、違った。 迷子の宇宙人だった。 故郷へ帰るロケット作りを手伝う羽目になったのだが、色々な研究機関やマスコミ、動画配信者等に追いかけ回されて...
300字SS

まがいの花

師匠は魔法で生きものを本物そっくりに具現化できる。滅びた動植物や空想の生きるものまで、何でも。 師匠が手漉きした紙に師匠が調合したインクで、複雑な呪文と図形を繋げていく。この日生み出したのは、遠い東国で春に咲くという花だった。木に咲くので、...
300字SS

育ったものの名は「 」

私をのぞき込んだ時、彼は目映い太陽を背に負っていて、その表情はよく分からなかった。分かったとしても、何も感じなかっただろう。その時の私は、捨てられたボロボロの人形だったから。 そんな私に、彼は一つずつ、感情を与えてくれた。 誰かを助けようと...