ほのぼの

300字SS

航海士たち

陸地は水平線のかなたに消え、船は海流を横切っている真っ最中。空は快晴、なのに気分は最悪だ。「また船酔い?」 甲板でぐったりしていると、雲はないのに影がさす。呆れ顔に見下ろされていた。「エク……助けてくれ……」「そうやってすぐ人に頼るから、い...
小説

ハネムーン・サラダ

西暦二〇××年、日本時間九月九日、午後八時三七分。 終業時間から二時間以上経過した室内に人の姿はなく、私がいる一画以外、照明も落とされている。機械の駆動音が低く静かに響いているのみだ。
小説

夜間飛行

地面があっという間に遠ざかる。耳元で風がうなり、前髪が吹き飛ばされそうだ。「もっとゆっくりの方がいいよ、ニア! 速すぎる!」 ニアレアの腰にしがみついている黒猫が、悲鳴のような声を上げる。「無理言わないで、ヘッダ! 初めて飛んだのに、そんな...
小説

天体観測

「折り入って頼みがあるんだ」 それまであぐらをかいて談笑していた武利(たけとし)が、急に正座をして、前髪がローテーブルに置かれたコップの縁にあたりそうなほど頭を下げた。
小説

いつかまた君と、ここで

見上げれば青い空。視線を下げると水平線が横に長く伸びている。海は空よりも青い。 さらに視線を下げると、海岸線が見えた。白い砂浜ではなく、洗濯板のような岩が広がっている。「『鬼の洗濯板』と呼ばれてたらしいよ」