短編

小説

続・ぼくのサンタクロース

その小さな島は、海岸の目と鼻の先にあった。島に渡るには舟を使うか、潮が引いたときにだけ現れる道を通るしかない。ただし、島自体が神域であるため、上陸できるのは許された者だけだ。 ただ、見咎める者のいない夜にこっそりと島に渡り、置きみやげをして...
短編

ぼくのサンタクロース

冬になると雪に閉ざされる北の国々と違い、南方の面影が濃いこの地方では、冬であっても氷が張ることさえ稀だ。吐く息が白くけぶるのは朝も早いうちだけのこと。日が、その姿をすべて現せば、たちまち白い息は光の中に溶かされ見えなくなる。師走となり、風が...
小説

森のほとりの怒れる人

〈マの森〉に一人で入るな、と大人達が口を酸っぱくして言っているのに、ポラはいつもお構いなしだ。今日は朝から姿を見かけないなと気付いた頃に、全身草まみれで現れる。「キュラ、お土産だよ」 満面の笑みで、小さく綺麗な花束や、珍しい木の実を差し出し...
小説

お迎えさん/後編

有音が『お迎えさん』に選ばれたことは集落全体が知りながら、お祭りではないので、これといった盛り上がりはなかった。みなが有音に「よかったね」と嬉しそうに声をかけ、有音も「ありがとう」とやはり同じように返す光景を何度か目にしたくらいだ。有音と紗...
小説

お迎えさん/前編

屋根の半分以上は苔むし、部外者が見れば朽ちていると思うかもしれない。だが、部外者がこんな小さな社を訪れることは、まずないだろう。普段ですら、簡単な掃除をしに来る彼以外、滅多に人が来ない。 それでもこの小さな小さな社は、集落にとって大切なもの...