300字SS I’m a human being. ヒトは、どこまでをヒトと認めるのか。 肉体の衰えた部位を、機械体に置き換える人々がいる。中には脳以外の部分を、極端な場合は、脳でさえ。 悉く機械に置き換えたヒトは、果たしてアンドロイドとどれほど違うのか。火星にいくつもの都市を建設してい... 2023.05.27 300字SS小説
短編 忘れ得ぬもの、まだ見ぬ世界 その感触を、生涯忘れることはないだろう。けれど――。 「火星行きが目前で、ナーバスになってるだけじゃない?」 少し呆れた顔の同僚達に見送られ、地球行きの船に乗る。きっと仲間の言う通りだ。月生まれなのに、地球の青さに懐かしさを感じるのは、も... 2023.02.12 短編
300字SS 見えざる手 朝日が眩しい海岸を歩いていた時に、出会った。足がなくなった大きなクラゲが打ち上げられていると思ったが、違った。 迷子の宇宙人だった。 故郷へ帰るロケット作りを手伝う羽目になったのだが、色々な研究機関やマスコミ、動画配信者等に追いかけ回さ... 2022.06.05 300字SS小説
300字SS あかときの8分19秒 昼に白く輝き、夜は月を通して存在を知らしめる、人類最寄りの恒星。 目を細めても眩しすぎるその輝きは、8分19秒前のもの。今見えている太陽は、既に過去なのだ。 見えていても、それだけかの星は遠い。 有志が集まって打ち上げた太陽探査機「あ... 2021.07.04 300字SS小説
300字SS 種撒く人 「私の記憶に間違いなければ蒼藤の月一日。晴れ後雷雨。気持ちよく寝ていたら雷に起こされ、雨に見舞われる。昼寝を邪魔され不愉快だが、全身が洗えてすっきりできたので良しとする」 話しかけていた相手である黒く小さな種を、薄緑色の瓶に入れてしっかり... 2021.05.01 300字SS小説