小説 アリューセリドの道守/後編 女神の姿をようやく再び見ることはできたが、その時カイの胸をよぎった嫌な予感はこびりついてなかなか消えることはなかった。それを打ち消そうとするように、カイは今まで以上に念入りに神殿や道の掃除をした。そうすれば、もう一度アリューセリドが現れて、... 2007.11.11 小説短編
小説 アリューセリドの道守/前編 さわさわと、風が草原を渡っていく。 夕刻が近づき少し赤くなった陽光に照らされる草原は、黄金色に見えた。 季節は夏から秋へ移ろい、その秋も、もう間もなく終わる。この国の秋は短い。あと何日もすれば、今年最初の雪が空から舞い落ちてくるだろう。... 2007.11.11 小説短編
小説 変わらない二人の結末 05 コントラルトは愛用の剣の柄を握りしめ、大地に足を踏ん張り立っていた。わずかに震える彼女の手を見て、決戦前の武者震いかと思う者もいたかもしれないが、あいにくそうではなかった。 「なんだ、この騒ぎは……」 2007.01.29 小説賞金首と懸賞金
小説 変わらない二人の結末 04 同じ森を見ながら、遡った先が同じ過去ではなかったからなのか、あるいは他人事のように淡々としていたからなのか分からない。しかし、コントラルトはオイセルストの思わぬ一言に、ただ驚いて彼を見返すことしかできなかった。 2007.01.29 小説賞金首と懸賞金
小説 変わらない二人の結末 03 「急いで準備をしなくちゃいけないわね。そうだ、占術師を呼んで、縁起の良い日を占ってもらって。それから、招待状も作って、花嫁衣装はどの仕立屋に頼もうかしら……ああ、でもその前に、会場はどこが良いかしら。ねえ、あなた?」 2007.01.29 小説賞金首と懸賞金