ほのぼの

小説

糸島くんと山田くんとにぎやかな仲間たち

壁は淡い緑色で、床は濃い緑。天井は壁と同じ色で、無機質な白いライトが等間隔に緑の廊下を照らしている。廊下の行き止まりは扉になっていて、「関係者以外使用禁止」と赤い文字で書かれている。緑の背景に赤い文字は、目に痛い。この扉を見るたびにいつもそ...
小説

執筆戦隊カケルンジャー

ここに悩めるオンラインノベル愛読者が一人いる。私だ。  ノートパソコンにかじりつき、ブックマークのフォルダ『ラヴなサイト』に分類・最上位に登録し、尚かつ私の運営するラヴなファンタジー小説サイト『Wonder West Wind』のリンクペー...
小説

十六年目の「ただいま」

窓から差し込む光は柔らかく、狭い室内にほのかな暖かさを届けている。  昼間とはいえ、今は冬のただ中。暖炉に薪をくべて暖を取っても良いが、若いながらも一人で細々と生活しているラズは、節約できそうなところはなるべく節約している。だから、今日のよ...
短編

君と会う空の下

「今日未明から降り出した雨は、夜半まで降り続く見込みで――」  画面の向こうにいるお天気キャスターは、いつもながらの美しく楚々としたたたずまいで、憂鬱な今日の天気の行方を説明している。キャスターの爽やかな声は、暗いうちから音をたてて泣き出し...
小説

冒険好きに贈る三十五の罠

世の中、時には奇妙とも思えるモノが流行ることがある。  まあ、たいては無害であるから、放っておいても問題なんかない。流行るだけ流行り、飽きられたら忘れられていく。そんなモノだ。  しかし、これを放っておいては、世間の迷惑というモノだろう。