300字SS

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あかときの8分19秒

昼に白く輝き、夜は月を通して存在を知らしめる、人類最寄りの恒星。  目を細めても眩しすぎるその輝きは、8分19秒前のもの。今見えている太陽は、既に過去なのだ。  見えていても、それだけかの星は遠い。  有志が集まって打ち上げた太陽探査機「あ...
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日のあたる場所

影はいつも傍にあった。壁にもたれた背と、机に叩き付けた拳と、大地を踏む足と……影は必ず私と繋がっていた。  夕暮れのグラウンドでボールが私に向かって飛んできた時、私を守ってくれたのは影だった。階段で足を踏み外した時も、信号のない横断歩道を渡...
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種撒く人

「私の記憶に間違いなければ蒼藤の月一日。晴れ後雷雨。気持ちよく寝ていたら雷に起こされ、雨に見舞われる。昼寝を邪魔され不愉快だが、全身が洗えてすっきりできたので良しとする」  話しかけていた相手である黒く小さな種を、薄緑色の瓶に入れてしっかり...
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ともしびの道

「君の力を、僕に貸してくれないかい?」  満月を背にしても、その顔ははっきりと見えた。自分自身が、月よりほんの少し明るく光っていたから。  でも、優しげなその表情は、太陽よりもずっとずっと明るく見えたんだ。 「今日も見つからなかったねえ。い...
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リモート会議の注意点

私は現代のニッポンを生きる忍者。狙った相手と親密になり、必要な情報を芋蔓式に手に入れる。  世の中は随分と変わった。  カフェや居酒屋で同僚と歓談する風を装っていた仲間や親方との情報交換も、今はリモートで行っている。  画面の向こうの親方は...