nagasaka_danpi

小説

あるいはそれよりも鮮やかな 前編

灰色の雲が空を覆い尽くし、昼間だというのに太陽がどこにあるのか分からない。もっとも、太陽を直に拝んだことのある人類は、もうこの世のどこにもいない。  灰色の雲と厚い塵の層の向こうにあるおぼろげな姿を見られたら、運がいい。
小説

執筆戦隊カケルンジャー

ここに悩めるオンラインノベル愛読者が一人いる。私だ。  ノートパソコンにかじりつき、ブックマークのフォルダ『ラヴなサイト』に分類・最上位に登録し、尚かつ私の運営するラヴなファンタジー小説サイト『Wonder West Wind』のリンクペー...
小説

水切り

短い掛け声と共に腕をほとんど水平に振る。手に握られていた、平たい石が飛び出した。  ほとんど水平に飛んでいく石は、川面にぶつかると弾かれるようにして波紋だけを残し、さらに川面すれすれのところを跳んでいく。少し先で同じように波紋を描き、また跳...
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女神の継承者

あちらこちらから視線を感じるが、室内にエリステイア以外の人はいない。  エリステイアが訪れるまでは室内は無人であった。  空気はよどむことも揺らぐこともなく、冷え冷えとしている。  その冷たさは霊廟か神殿を思い起こさせた。
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賭けと夕陽と女と、そして 03

ルアソルの目を見たウィシュカに「夕陽のようだ」と言われて以来、褒美として女を与えられるというのなら、ウィシュカがいいと言い続けてきた。ヴァラトナに呆れられようとも、自分が何故そこまで執着するのかはっきりとした答えを出せないままでも、ルアソル...