小説 挑戦状の理由 第一話03 海を北側に臨み、東西に海岸線を広げるマスゾートには東港と西港、二つの主要な港がある。港には漁船や商船、輸送船などがひっきりなしに出入りをし、船から降ろされた荷やこれから輸送する荷を運んでくる荷馬車も数多い。そのため、港の近くには荷馬車のため... 2020.02.24 小説挑戦状の理由
小説 挑戦状の理由 第一話02 見慣れたはずの街並みが、今日ばかりはいつもと違って見えた。初めて訪れた街を見るように、顔と共に視線があちこちにせわしなく動く。そんな彼女に、隣を歩くハールズが、穏やかな笑みを向けた。 「緊張してるみたいだね」 落ち着きのないエナマーリエの... 2020.02.24 小説挑戦状の理由
小説 挑戦状の理由 第一話01 現状では少し心許ない、と雇い主であるテギが云い出したのは、出発の三日前の夜だった。 「妙な魔物が出るらしいし。攻撃系魔術の得意な術師がいる方が、安全度は上がるわね」 テギの言葉に最初に同意したのは、魔術師であるキルテアだった。彼女は攻撃系... 2020.02.24 小説挑戦状の理由
300字SS 昔話は語られない 島にはかつて竜が一匹いた。その竜が異界の侵略者を退けていたので、崇められていたという。 その竜には番である魔女がいた。その絆は強く、魔女は竜をよく助け、竜と共に島を守っていた。 だが今は、竜も魔女もいない。 いや、魔女はいる。しかし、... 2020.02.01 300字SS小説
小説 ハネムーン・サラダ 西暦二〇××年、日本時間九月九日、午後八時三七分。 終業時間から二時間以上経過した室内に人の姿はなく、私がいる一画以外、照明も落とされている。機械の駆動音が低く静かに響いているのみだ。 2019.12.07 小説短編